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2008年08月23日

あたしはアウトドア嫌いなの

野外活動が大きな特徴でもあるボーイスカウトをやっていても、実はキャンプやハイキングがあまり好きではない、という方も中にはいらっしゃる。

しかし自分にとっては、やはりキャンプとか山登りが楽しかったわけで、野営のメンドクサイ部分も、ただそこにいる喜びみたいのが打ち消してくれる気がする。

趣味としてのアウトドアは、何処でも自然の中へ飛び込んでそこで寝泊まりし、しかもテント泊なら(一度買ってしまえば)宿泊費がほとんどかからないという点でも魅力的だ。

休日にはオートバイに一式積んで、いろんなところを駆け巡りたい。

僕はそういう人生をこれからもずっと送っていくんだと、若かりし頃は信じていた。

山登りもオートバイも、その瞬間のためにそれまでの道のりがあった、と思わせるようなところが、似てるんじゃないかな。

ソロテントやガソリンストーブ、登山靴にレインウェア・・・。社会人になって毎年少しずつ装備を充実させていったものの、結婚と同時にそれらが長く押し入れにしまわれている不遇の時代が始まった。

やがてこどもが大きくなって、いまは一緒にキャンプにも行ってくれるのだが、カミさんは一貫して「あたしは行かない。こどもと行ってきていいよ。(あたしはひとりで買い物にでも行くからさ。)」

ところがある日、「ねぇ、富士山登ろうよ。」えっ?

だんだん大きく育ってきたものの、精神的にどこか弱いところのある息子に、なにかキッカケをあげられれば。

わたしたち夫婦の間で共通のテーマであり、課題でもある。


Google Earth view-00






「いいよ。」反対する理由はない。高い山なんか登ったことないでしょ。そんなネガティブなことも言わない。

ニーズを実現し目的を達成させるためのモチベーションを維持・向上させるために、具体的な提案を矢継ぎ早に出す。・・・というか、とりあえず富士山のガイドブックを買って読ませた。

山登りのための、家族の分の装備はまったくない。「まず、買い物ね♪」あ、そうね。


靴だけは慣らしが必要だと思ったので、駐車場から一周できるコースとして、箱根にある金時山を選ぶ。

カブのハイキングにもちょうどいいところだ。

息子自身キャンプや登山は好きと言っているが、こちらから見てフィジカルにもメンタルにも相当不安がある。

このリハーサルの結果、まあ、行けても8合目くらいまでかな。今回登頂がかなわなくても、また何度でも挑戦すればいいさ。という感じだった。



富士山は観光地、純粋に山が好きな人というより、人生の思い出作りがたまたま富士山、みたいな人が、圧倒的に多いのだろう。登れる期間も7月1日の山開きから2ヶ月しかない。しかし、渋滞する登山などまっぴらご免だ。決行日はシャトルバスを使わないですむ、マイカー規制の無い日を選ぶ。


朝7時前に出発で、9時には五合目到着。すでに標高2400m、高地に慣れるため、駐車場で仮眠をとる。なんやかんやで歩き始めは11時。

天気は晴れで、風は強く冷たい。すでに、長袖二枚が必要だ。雲の海の上にいるんだけど、その上にも雲が広がる。そして時々、あたかも巨大な冷蔵庫の冷気のような雲に包まれる。高い山に登ってる、という感じがする。

雲の切れ間からは、下に駿河湾、箱根から伊豆天城山塊、小田原方面が見渡せた。Google Earthで表現すると、こんな感じ。

Google Earth view


新七合目2780mで昼食、14時。七合目3010mで八ヶ岳(2899m)の、八合目3250mで北岳(3193m)の、それぞれ標高を超える。

八ヶ岳はシニア1年目(高1)で山のすばらしさを教えてくれた。2年目で自ら志願し計画した日本第2の高峰北岳は、結局病気で行けなかったけど、社会人になってリベンジを果たした。人生はあの頃から、ずっと続いているんだ。


16時半、急にガスって雨も降り出す。完璧に用意した雨具を装着するも、疲れて寒いので九合目をあきらめ、八合目の山小屋に引き返した。

17時に山小屋カレーをいただく。テントを背負った縦走はしたことあるが、山小屋は初めて。この日は天候急変のためか、混雑で敷布団一枚に3名状態に。ボーイスカウトでテントに詰め込まれる生活を体験していないカミさんと息子にとっては、これが入眠を大いに妨げたようだ。

私は19時には寝て、深夜1時に目が覚める。まったく問題ない。ご来光登山のため2時半に起こしてくれるのだが、みんなフライングして動き出している。朝ご飯のサービスがないので、持ってきたパンをかじる。もう少し多めに持ってくれば良かった。


night

装備を調え、3時過ぎに出発。天候は回復して、星がきれいに見える。ところが、息子が頭が痛い、と動かない。酸素を補給し、休ませる。いや、きっと気分の問題もある。疲れてはいるだろうが、頭はあんまり痛くないのかもしれない。とにかく、歩こうとしない。こういうときは、彼の中で何かを乗り越えるまで待つしかない。空を眺めながら、時間が過ぎる。

sunrise


5時、やがて星が見えなくなり、陽が昇った。プラネタリウムの最後でいつも早送りされるところだが、ちゃんと地球の回る速度で変化していった。雲から上がった太陽は、とてもまぶしかった。明るくなって、気持ちも上向いたのだろうか。息子も歩き出した。

太陽のエネルギーが地表を暖め、大きな空気の流れとなって動き始めた。すごい風だ。やがて太陽が高くなり、風が落ち着いてきたが、息子の足は相変わらず遅い。足も痛いらしい。それは、本当だろう。

morning


9時、やっと九合目(3460m)。お昼をいただく。山頂が目前に近づいて我々夫婦は一気に登り切ってしまいたいのだが、ますます足が止まりがちな様子を見て、引き返すことも考える。息子の足を見て、少し赤くはなってるけど、怪我ではないと判断。まだ時間はあると考え、説得する。「ここまで来たら、行くだろフツー。」

summit


健脚の方なら小一時間で登ってしまう残りの区間を、それでも標高差300mもあるのだが、3時間近くかけて最高地点の剣が峰に立つことができた。登り始めから24時間以上経っている。そんなにかかったのか!五合目に戻れたのはすっかり暗くなった夜19時。実は、途中で2泊目も覚悟していた。

富士山山頂三角点


足が痛いのに歩くのは大変だ。それでもあきらめないで、よく頑張ったと思う。翌日も元気に起きて(足腰を痛がっている両親とは対照的に)、学校の活動へ出かけていった。彼にとってこれが「成功体験」となって欲しい、というのが、我々の願いでもあった。



「頑張らせるか、やめさせるか。」この判断は、いつも難しい。自分のことですら、間違える。スカウトと指導者、選手とコーチ。それぞれ考え抜いた上での判断であっても、何が正しかったかは、結果が出る前にはわからない。

2899mの八ヶ岳の山頂で「来年は3000m超えたい!」と思って計画した北岳に病気で行けず、それでもドクターストップを押して参加した部活の合宿も、やっぱり途中でひとり寂しく電車で帰ることとなった高2の夏。

限界だ、と思ったときに頑張らなければ、限界は超えられない。でも、自分が思ってる限界より、他人の判断の方が「妥当な」場合もあるんだな。思いが強いほど、見極めが難しい。間違いとして認めたくないものだし。それ以前に、性分の問題だな・・・。そんなことを考えていたと思う。


waiting

下りの六合目の手前、もうだいぶ日が傾いてきた。でも、もう一泊はせずにすみそうだ。森林限界と樹木の立ち枯れ、酸性雨の影響だろうか。むかし遊園地だったショッピングモールも見える。覚悟を決めて、必死に歩き続けてる息子を待ちながら、カミさんと二人で話をしていた。「どうして彼は『ダメだ』という気分に支配され過ぎてしまうんだろう?」

小学校に上がる前からそういう傾向があって、私たちは大きな責任を感じつつも、何をどうしていいかわからずにここまできてしまった。本人は努力してるんだけど、どこまでもマイペースというか、どこか周りと自分をあわせることができずに苦しんでいるところがある。その不安を取り除く術を、何とか自分で見つけ出して欲しいものだ。

「何かこう、『このあと温泉に行くために、時間を間に合わせよう』みたいなのって、ないのよね。」カブ年代くらいだと、それも普通だけどね。

「あたしはこのあと御殿場のアウトレットに行くなら、もっとがんばるわよ。」あなたの世界がアウトドア中心じゃないのは、よくわかりました。
posted by ぬまた at 18:18| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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